日本の文化として、世界中から高い注目を集めている伝統工芸品。
職人による独自の技法や技術で作られていることが多く、古くから日本で愛されてきた文化でもあります。
最近では、SNSなどの普及により若者からも注目され、幅広い世代から関心を集めているのです。
しかし、まだ伝統工芸に興味を持っていない人やあまり知らない人からすると
「伝統工芸のよさってなんなの?」
と感じてしまいますよね。
ここでは伝統工芸のよさを5つ紹介していきます。記事の最後ではおすすめの製品も紹介していきますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
伝統工芸ってそもそも何?伝統工芸の歴史は?など網羅的に理解したい人は、以下の記事で解説していますのでぜひチェックしてみてください。
伝統工芸のよさを5つ紹介!
伝統工芸のよさは以下の5つです。
- 日本の美を演出している
- 職人の手作り
- 経年変化してこその楽しみがある
- 壊れても新たな魅力を見出せる
- デザイン性と機能性が高い
それぞれ詳しく解説していきます。
1.日本の美を演出している
伝統工芸のよさ1つ目は、日本の美を演出している点です。
伝統工芸には古くからの歴史があり、100年間以上継承されてきた工芸品もあります。
意外に感じる人もいるのですが、工芸品は主に日本人が生活の中で使っているものが多く、着物やうちわ、漆器など身近な物がほとんどです。
日本刀なども工芸品の1つで、現代では美術工芸品として人気がとても高いですね。
このように、工芸品は日本をイメージしやすい物がほとんどで、その美しさや技術力は世界中から高く評価されていると言えるでしょう。
2.職人の手作り
伝統工芸のよさ2つ目は、職人の手作りで製造されている点です。
機械をほとんど使わず、主な製造工程は手作業であるため、同じ製品であっても1つ1つに違いが出ます。
つまり、世界に同じ工芸品は1つも無いということになります。
手作りだからこそ、製品それぞれに個性がでるのも伝統工芸の魅力ですよ。
3.経年変化してこその楽しみがある
伝統工芸のよさ3つ目は、経年変化してこその楽しみがある点です。
日常生活で使う物は、基本的に使えば使うほど劣化していきますよね。見た目も古く感じたり、機能性が落ちたりするのが普通でしょう。
しかし、伝統工芸品は年季が入ることで魅力的になったり、使いやすくなるのが特徴です。
例えば、漆を塗り重ねて作る漆器は、お椀や箸などの食器製品が多いのですが、使えば使うほど風合いが増すことで、購入当初とは違う魅力を楽しめると人気。
もともと伝統工芸品は職人の手で丁寧に作られているためとても頑丈です。長年使えて製品の経年変化を楽しめるのも伝統工芸のよさですね。
4.壊れても新たな魅力を見出せる
伝統工芸のよさ4つ目は、壊れても新たな魅力を見出せる点です。
焼き物などは落として割れてしまうこともありますよね。普通は割れてしまったら捨てますが、工芸品は修復できます。
割れたり欠けてしまった器は「金継ぎ」と呼ばれる日本の伝統技術で修復します。
「金継ぎ」は漆を塗って割れた器を付け、その上から金粉を振る技術です。
「金継ぎ」によって修復された器は、継ぎ目が新たな模様のようになることで全く別の魅力を感じられるようになります。
壊れても以前とは違う魅力を見いだせるのは、伝統工芸品の特徴でもあるのです。
5.デザイン性と機能性が高い
伝統工芸のよさ5つ目は、デザイン性と機能性が高い点です。
もともと工芸品は日本人が日常生活で使用しているものが多く、使いやすく壊れにくい特徴があります。
また職人の手で1つずつ作られているため、機械では表現できない美しさも魅力の1つと言えるでしょう。
最近では、新進気鋭なデザイナーが手掛ける「現代の伝統工芸品」が非常に人気で、古き良き日本を感じながらおしゃれでかわいいデザインの伝統工芸品が注目を集めています。
伝統工芸のよさが広まらない原因は大きく3つ
使いやすく丈夫でデザイン性も魅力的な伝統工芸品のよさが広まらないのはなぜでしょうか?
原因は大きく3つあります。
- 伝統的=古いイメージがあるから
- そもそも伝統工芸に興味をもたれないから
- 身近で触れることがないから
1つずつ解説していきますね。
伝統的=古いイメージがあるから
伝統的と聞くと、なんだか古いイメージがある人は少なくないはず。
実際、工芸品の中には100年間以上の歴史があるものがたくさんあるのは事実。
しかし、いざ伝統工芸品を目にするとデザイン性や美しさに気づき、イメージと違ったという人は多いのです。
手作りだからこそ分かる独特の世界観が感じられ、その場で即決して購入する人もいるほどです。
近年ではデザイナーにより現代の伝統工芸品が生み出され、和モダンなデザインの工芸品が非常に人気なのをご存知でしょうか。
イメージにとらわれず、ぜひ一度伝統工芸品を直接見て触れてみてください。
そもそも伝統工芸に興味をもたれないから
伝統工芸は興味を持たれにくいのが現状です。
まず伝統工芸を知る機会がなければ、興味を持ちにくいでしょう。
こうした現状を打破すべく、伝統工芸の体験イベントなどが実施されています。
例えば、藍染めでオリジナルTシャツを作れたり、鍛冶屋で刃物造りを体験できたりと日本全国で伝統工芸を体験できるのです。
旅行先で友人と楽しんだり、お子さんが自由研究で体験教室に通うなど、伝統工芸にふれられる機会はどんどん増えてきていますよ。
伝統工芸の後継者不足問題を少しでも解消できるよう、より多くの人に伝統工芸の魅力を知ってもらえる機会が増えると嬉しいです。
身近で触れることがないから
伝統工芸は身近で触れることがあまり無いですよね。
機械で大量に生産されているわけではなく、職人により手作りされているので生産数には限りがあり、製品が市場に出回る数は多くはありません。
そのため百貨店や大型デパートなどで販売されていることが多いです。
科学と技術が進歩し、安くて質の良い製品が大量に作られていることは私たちにとってありがたいですが、一方で日本の文化が失われてしまう原因にもなっていると言えるでしょう。
伝統工芸のよさがわかる製品5選
伝統工芸のよさをより知ってもらうために、日本の代表的な伝統工芸品を5つ紹介します。
日常で使えるもの、贈り物として喜ばれるもの、趣味として人気なものなど、さまざまありますのでぜひチェックしてみてください。
1.陶磁器
陶磁器は、土をこねて焼いたものの総称で、一般的には「やきもの」と呼ばれています。
耐久性が高く、手触りが良いことやデザイン面に優れている特徴を持つため食器や湯呑などの製品が多いです。
日本の代表的な陶磁器として、岐阜県の美濃焼、滋賀県の信楽焼、佐賀県の有田焼、京都府の清水焼、石川県の九谷焼などが有名ですね。
陶磁器は割れたり欠けたりしても修復でき、壊れても魅力を見いだせる工芸品の1つです。
2.漆器
漆器は、漆を塗った工芸品のことで、お椀や箸などの製品が多いです。
耐久性・耐水性・断熱性・抗菌作用に優れていて、食器だけでなく棚や台などにも漆は使われています。
機能性が高い上に、美しい見た目も漆器の魅力なんです。合成樹脂では表現できない上品なツヤがあり、使い込むほどに美しい光沢が生まれます。
もし漆器が欠けたりしても、上から漆を塗ることで修復できるので長い間使用できるメリットもありますよ。
3.和紙
和紙は、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている日本の伝統工芸品。薄くてとても頑丈でさまざまな種類の製品に使われています。
日本が誇る和紙は、和傘・提灯・うちわなどに使われていて、最近ではくつ下や付箋の材料として利用されているのです。
日本三大和紙として、岐阜県の美濃和紙、高知県の土佐和紙、福井県の越前和紙がとても有名です。
4.染物
染物は、染料などで染めた布のことを指し、着物や洋服などの衣類が製品として代表的。
種類や技法は全国でかなりの数があり、それぞれ歴史のある技法を用いて製造されます。
高級な着物は染物としてイメージしやすいですが、Tシャツやスカーフ、手ぬぐいなどの身近な衣類にも使われているため女性の方は触れる機会も多いでしょう。
成人式や結婚式などの行事で着物を着ることはありますし、最近では着物をおしゃれに着こなすファッションなども流行っていますよね。
5.日本刀
日本刀は、日本固有の鍛冶製法で作られた刀です。
昔は武器として使用されていましたが、現代では美術工芸品や文化財として扱われています。
日本刀の魅力は何と言っても美しい見た目で、刀身に反りがあることや片側だけに刃が付けられているのが特徴です。
また、折れない・曲がらない・切れ味が鋭いことも有名で、頑丈さや刃物としてムダが削ぎ落とされている面も高く評価されています。
アニメやマンガで刀を扱うキャラクターが人気だったり、武将がブームになったことで若者から注目を集めましたね。
その美しさから思わず息を呑んでしまう魅力の日本刀は、博物館で見れます。日本刀をコンセプトにしたカフェなどもあるので、最近では日本刀を気軽に楽しめるようになりました。
伝統工芸品と現代技術のコラボもある
近年、伝統工芸品は新しい技術を取り入れたコラボも行っています。
近年、伝統工芸品は新しい技術を取り入れたコラボも行っています。
例えば、3Dプリンターで作られた器に職人が漆を塗って食器を作るコラボや藍染をスニーカーに施したコラボなど、さまざまな新しい製品が誕生しているのです。
伝統工芸品の良さと現代技術の進歩をマッチさせることで、より魅力的な製品が出来上がるのはワクワクしますよね。
また、伝統工芸品と人気コンテンツとのコラボも高い注目を集めています。
伝統工芸×人気キャラクターという異色な組み合わせにより、今まで伝統工芸に関心が無かった人に知ってもらえるきっかけとなりました。
伝統工芸は決して閉鎖的な文化・技術ではないのです。
まとめ
今回は伝統工芸のよさについて解説してきました。
おさらいすると、伝統工芸のよさは以下の5つです。
- 日本の美を演出している
- 職人の手作り
- 経年変化してこその楽しみがある
- 壊れても新たな魅力を見出せる
- デザイン性と機能性が高い
古くて敷居が高いイメージを持たれがちな伝統工芸ですが、良さがたくさん詰まっているのでぜひ一度手に取って魅力を感じてください。
伝統工芸の体験イベントやさまざまなコラボも実施されているので、この記事を読んで少しでも興味を持ってくれたら嬉しいです。