伝統工芸品は全部で15種類!指定されている品目を都道府県別で紹介

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全国各地にはさまざまな伝統工芸品があります。

地元で有名なものもあれば、名前だけは聞いたことがあるという伝統工芸品もあるでしょう。

この記事を読んでいるあなたは

「伝統工芸品ってどのくらい種類があるの?」

と疑問に感じているのではないでしょうか。

結論から言うと、伝統工芸品は主に15種類あり、日本の各地で生産されています。

ここでは伝統工芸品の種類を都道府県別で紹介していきます。

伝統工芸品の種類は15種類!

冒頭でもお伝えしましたが、伝統工芸品の種類は主に15種類です。

  • 織物
  • 染色品
  • その他繊維製品
  • 陶磁器
  • 漆器
  • 木工品・竹工品
  • 金工品
  • 仏壇・仏具
  • 和紙
  • 文具
  • 石工品
  • 貴石細工
  • 人形・こけし
  • その他の工芸品
  • 工芸材料・工芸用具

伝統工芸とは、長年受け継がれてきた技術や技法で作られた作品で、各都道府県や自治体によって認められたものを指します。

令和4年現在だと、伝統工芸品は全国で1200種類ほどあるとされており、各地の名産品となっていることが多いです。

伝統工芸品の特徴として、日常生活で使用されていることや製造過程のほとんどが手作業であること、長年に渡って技術や技法が受け継がれてきたことなどがあげられます。

実は、伝統工芸品とは別で伝統的工芸品も存在します。この2つはどちらも日本が誇る文化ですが、明確な違いがあるので次で分かりやすく解説していきますね。

現在指定されている伝統的工芸品は237品目ある

先ほど紹介した伝統工芸品に明確な定義はありませんが、「伝統的工芸品」は法律に基づいた要件をクリアすることで認定されます。

伝統的工芸品として認められるための要件は以下の5つです。

  1. 技術や技法により製造されていること
  2. 原材料がおよそ100年以上継承されていること
  3. 日常生活で使用されていること
  4. 主要部分が手作業で作られていること
  5. 一定の地域で産業が成り立っていること

これらの要件を満たしていることで、経済産業大臣によって伝統的工芸品として認められるのです。

日本で現在指定されている伝統的工芸品は237品目で、世界中から注目を集めている日本の文化と言えるでしょう。

都道府県別伝統工芸品一覧

北海道・東北地方の伝統工芸品

北海道(2品目)二風谷イタ、二風谷アットゥㇱ
青森県(1品目)津軽塗
秋田県(4品目)樺細工、川連漆器、大館曲げわっぱ、秋田杉桶樽
岩手県(4品目)南部鉄器、岩谷堂箪笥、秀衡塗、浄法寺塗
山形県(5品目)山形鋳物、置賜紬、山形仏壇、天童将棋駒、羽越しな布
宮城県(4品目)宮城伝統こけし、雄勝硯、鳴子漆器、仙台箪笥
福島県(5品目)会津塗、大堀相馬焼、会津本郷焼、奥会津編み組細工、奥会津昭和からむし織

北海道・東北地方の伝統工芸品は、寒冷な地域での生活に役立つ工芸品や豊富な森林資源を活かした工芸品が多い特徴があります。

北海道の二風谷イタはアイヌ民族の文化を継承してきた工芸品で、カツラやクルミなどの木を原材料として作られています。

うずまき模様やウロコ模様などの美しい見た目が魅力の1つです。

また、岩手県の南部鉄器は、和テイストのおしゃれなデザインと幅広い用途で調理に活用できる工芸品としても非常に人気です。

関東地方の伝統工芸品

東京都(18品目)村山大島紬、東京染小紋、本場黄八丈、江戸木目込人形、東京銀器、東京手描友禅、多摩織、江戸和竿、江戸指物、江戸からかみ、江戸切子、江戸節句人形、江戸木版画、江戸硝子、江戸べっ甲、東京アンチモニー工芸品、東京無地染、江戸押絵
埼玉県(6品目)江戸木目込人形、春日部桐箪笥、岩槻人形、秩父銘仙、行田足袋、江戸押絵
神奈川県(4品目)鎌倉彫、箱根寄木細工、小田原漆器、江戸押絵
千葉県(2品目)房州うちわ、千葉工匠具
茨城県(3品目)結城紬、笠間焼、真壁石燈籠
栃木県(2品目)結城紬、益子焼
群馬県(2品目)伊勢崎絣、桐生織

関東地方には37品目の伝統的工芸品があります。

江戸時代に日本の中心となり、多くの職人や文化の発展となったため、東京には多くの伝統的工芸品が現存します。

日光東照宮や鬼怒川温泉など、自然と歴史の観光地が多い栃木県では、蚕の真綿を原材料とした結城紬が有名です。

真綿を1本ずつ丁寧につむいだ系から作られる着物は丈夫で軽く、ユネスコの無形文化遺産としても登録されていています。

中部地方の伝統工芸品

新潟県(16品目)塩沢紬、小千谷縮、小千谷紬、村上木彫堆朱、本塩沢、加茂桐箪笥、新潟・白根仏壇、長岡仏壇、三条仏壇、燕鎚起銅器、十日町絣、十日町明石ちぢみ、越後与板打刃物、新潟漆器、羽越しな布、越後三条打刃物
石川県(10品目)加賀友禅、九谷焼、輪島塗、山中漆器、金沢仏壇、七尾仏壇、金沢漆器、牛首紬、加賀繍、金沢箔
富山県(6品目)高岡銅器、井波彫刻、高岡漆器、越中和紙、越中福岡の菅笠、庄川挽物木地
福井県(7品目)越前漆器、越前和紙、若狭めのう細工、若狭塗、越前打刃物、越前焼、越前箪笥
長野県(7品目)信州紬、木曽漆器、飯山仏壇、松本家具、内山紙、南木曽ろくろ細工、信州打刃物
岐阜県(6品目)飛騨春慶、一位一刀彫、美濃焼、美濃和紙、岐阜提灯、岐阜和傘
山梨県(3品目)甲州水晶貴石細工、甲州印伝、甲州手彫印章
静岡県(3品目)駿河竹千筋細工、駿河雛具、駿河雛人形
愛知県(15品目)有松・鳴海絞、常滑焼、名古屋仏壇、三河仏壇、豊橋筆、赤津焼、岡崎石工品、名古屋桐箪笥、名古屋友禅、名古屋黒紋付染、尾張七宝、瀬戸染付焼、尾張仏具、三州鬼瓦工芸品、名古屋節句飾

中部地方には伝統工芸品の産地が多く、漆器や焼き物、木工品など貴重な資源を使った工芸品がたくさんあります。

新潟県は京都府、東京都に次いで全国3位の品目の多さで、今でも日常生活で工芸品が使われているため、伝統的な文化が根付いている地域です。

石川県には連続テレビ小説「まれ」で一躍有名になった輪島塗や金沢箔、九谷焼など一度は耳にしたことのある工芸品が多くあります。

近畿地方の伝統工芸品

京都府(17品目)西陣織、京鹿の子絞、京仏壇、京仏具、京漆器、京友禅、京小紋、京指物、京繍、京くみひも、京焼・清水焼、京扇子、京うちわ、京黒紋付染、京石工芸品、京人形、京表具
大阪府(8品目)大阪欄間、大阪唐木指物、堺打刃物、大阪仏壇、大阪浪華錫器、大阪泉州桐箪笥、大阪金剛簾、浪華本染め
兵庫県(6品目)播州そろばん、丹波立杭焼、出石焼、播州毛鉤、豊岡杞柳細工、播州三木打刃物
奈良県(3品目)高山茶筌、奈良筆、奈良墨
三重県(5品目)伊賀くみひも、四日市萬古焼、鈴鹿墨、伊賀焼、伊勢形紙
滋賀県(3品目)彦根仏壇、信楽焼、近江上布
和歌山県(3品目)紀州漆器、紀州箪笥、紀州へら竿

近畿地方には、伝統文化が詰まった京都府や奈良県など日本を象徴する伝統工芸品があります。

伝統工芸品について詳しく知らない人でも、近畿地方の工芸品は知っているという場合が多いですよね。

京都府の西陣織は古墳時代から歴史を継承していて、高級織物として重宝されています。

他にも、滋賀県の信楽焼や三重県の四日市萬古焼などの焼き物類も非常に人気の工芸品です。

中国地方の伝統工芸品

鳥取県(3品目)因州和紙、弓浜絣、出雲石燈ろう
島根県(4品目)出雲石燈ろう、雲州そろばん、石州和紙、石見焼
岡山県(2品目)勝山竹細工、備前焼
広島県(5品目)熊野筆、広島仏壇、宮島細工、福山琴、川尻筆
山口県(3品目)赤間硯、大内塗、萩焼

中国地方の伝統工芸品は、生活で使われる機械の多い伝統工芸品が多くあります。

意外に感じる人もいるかもしれませんが、伝統工芸品の中には食器や着物などの他にも雲州そろばんのようなものもあるのです。

雲州そろばんは「コクタン」、「ツゲ」などを素材にした珠や枠作り、竹を用いた軸作りなど、職人によって1つずつこだわって作られていて堅牢で使い易く人気の工芸品の1つです。

四国地方の伝統工芸品

香川県(2品目)香川漆器、丸亀うちわ
愛媛県(2品目)砥部焼、大洲和紙
高知県(2品目)土佐和紙、土佐打刃物
徳島県(3品目)阿波和紙、阿波正藍しじら織、大谷焼

資源が豊富な四国地方では、実用性に長けてデザイン性にも優れた伝統工芸品が多い特徴があります。

徳島県の大谷焼はざらざらとした素朴な土感と、わずかに光る光沢が魅力で使えば使うほど味が出てくるため、長く愛用される工芸品として人気です。

また高知県の土佐打刃物は金工品として全国的に有名で、切れ味が良く丈夫なためナイフや包丁が料亭で使われたり、農林用刃物として注文されるほど愛されていますね。

九州地方の伝統工芸品

福岡県(7品目)小石原焼、博多人形、博多織、久留米絣、八女福島仏壇、上野焼、八女提灯
長崎県(3品目)三川内焼、波佐見焼、長崎べっ甲
佐賀県(2品目)伊万里焼・有田焼、唐津焼
大分県(1品目)別府竹細工
宮崎県(2品目)本場大島紬、都城大弓
熊本県(4品目)小代焼、天草陶磁器、肥後象嵌、山鹿灯籠
鹿児島県(3品目)本場大島紬、川辺仏壇、薩摩焼
沖縄県(16品目)久米島紬、宮古上布、読谷山花織、読谷山ミンサー、壺屋焼、琉球絣、首里織、琉球びんがた、琉球漆器、与那国織、喜如嘉の芭蕉布、八重山ミンサー、八重山上布、知花花織、南風原花織、三線

九州地方には、焼き物や織物やガラス食器など、様々なジャンルの工芸品があります。

中国大陸や朝鮮半島から近いため、昔から貿易が盛んだった九州地方には海外と日本の文化が混ざり独自に発展した文化を色濃く反映させた工芸品が多いのが特徴です。

磁器として有名なのが、佐賀県の伊万里焼・有田焼ですね。耐久性に優れていて壊れにくく、色鮮やかな絵付けが美しいため普段使いから贈答品としても人気です。

沖縄県には「やちむん」と呼ばれる沖縄の伝統的な陶磁器があり、ぽってりとした厚みと重厚感、かわいらしいデザインが特徴で沖縄料理屋などの食器で多用されています。

伝統的工芸品を見分けるためにはマークを探そう!

ここまで都道府県別で伝統的工芸品を紹介してきましたが、いざ目の前にすると「これって伝統的工芸品なの?」と迷ってしまうこともあるでしょう。

伝統的工芸品かどうかを見分ける際には、商品に伝統マークが付いてるか確認すると簡単に見分けられます。

出典元:https://kyokai.kougeihin.jp/

伝統マークとは、経済産業大臣指定伝統的工芸品のシンボルマークで、国が伝統的工芸品として認めなければ与えられません。

ちなみに、伝統マークは金色と銀色の2種類あり、金色の伝統マークは100年以上の歴史がある伝統的工芸品に貼られています。

出典元:https://kyokai.kougeihin.jp/stamp/

一方で、銀色の伝統マークは「現代の伝統工芸品」が対象とされていて、伝統的工芸品の技術・技法を残しつつ、新しい技術や素材を取り入れて作られた工芸品の証です。

もしあなたが、伝統工芸品を購入しようか迷った際には、伝統マークが貼られていることを確認しておくことをおすすめします。

まとめ

今回は伝統工芸品の種類について解説してきました。

都道府県別で伝統工芸品を見てみると、各地の気候や文化を読み取ることができて楽しいですよね。

日本が世界に誇る文化の伝統工芸品を守っていくためにも、この記事を読んだあなたが少しでも伝統工芸品について興味を持つきっかけになれたら嬉しいです。

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