日本刀と一口に言っても、種類は豊富です。
この記事を読んでいるあなたは
「日本刀の種類について知りたい」
「日本刀の構造ってどうなってるの?」
と、疑問に感じているのではないでしょうか。
結論から言うと、日本刀は主に7種類に分類され、それぞれ形や大きさはかなり違ってくるのです。
そこで今回は、日本刀の種類と構造について詳しく解説していきます。
意外と知られていない日本刀もあるので、興味のある方はぜひ最後まで読んでみてください。
また日本等の歴史や切れ味、作り方などより詳しく知りたい人は、以下の記事で紹介していますのでぜひ参考にして下さい。
→【伝統工芸】日本刀の歴史や種類を解説|特徴や愛刀蒐集家も紹介
日本刀の種類は全部で7種類!
日本刀は、主に以下の8種類に分類されます。
- 直刀
- 太刀
- 打刀
- 脇差
- 短刀
- 薙刀
- 槍
それぞれの用途や特徴について見ていきましょう。
1.直刀
直刀は、古墳時代から奈良時代にかけて制作されました。
特徴はその名の通り、刀身がまっすぐな点で、湾刀と比べると反りがほとんどありません。
「上古刀」とも呼ばれ、日本刀の起源とされています。
武器としてだけでなく、権威の象徴としての意味があったり、献上品としても扱われていました。
2.太刀
太刀は、平安後期から戦国時代頃までに制作された日本刀です。
日本刀と言われた際に、一番イメージしやすい形の日本刀ではないでしょうか。
刀身が反っている湾刀で、「断ち斬る」が語源と言われています。
刃渡りが2尺(約60cm)以上の長刀で、騎馬戦が主流だった時代に作られました。
あえて刀身を反らすことで、馬上で刀が抜きやすいよう設計された刀です。
3.打刀
打刀は、太刀に代わって室町時代中期(15世紀後半)から江戸時代末期(19世紀中頃)まで使用された日本刀です。
一般的に日本刀といえば「打刀」のことを差す場合が多いでしょう。
太刀との違いは刀身がやや短くなっており、騎馬戦による馬上での使用ではなく、主に徒戦での使用を想定した刀とされています。
戦い方が変わると、日本刀の形も変わり、武器としてより洗練された作りに変化していきました。
4.脇差
脇差は打刀の一種で、刃渡り1尺(30cm)以上2尺(60cm)未満の日本刀です。
室町時代以降に誕生し、太刀や打刀の補助武器として用いられました。
刀身が打刀より短く、近接戦闘や打刀が折れた際などに使用されます。
打刀と脇差を同時に使うことは二刀流と呼ばれ、宮本武蔵なども大小二本の刀を戦闘に用いていたことは有名ですね。
5.短刀
短刀は打刀の一種で、刃渡り1尺(30cm)未満の日本刀です。
懐にも収められるサイズから、懐刀・腰刀と呼ばれたりもしますね。
脇差と同様に、太刀・打刀の補助武器として使用されました。
小さく扱いやすいので、女性や子供に護身用として持たせることも多かったそうです。
また、武器としてだけでなく、邪気や災厄を払うお守りとして扱われる一面もあります。
6.薙刀
薙刀は、長い柄の先に反りがついた刃を付けた武器のことで、日本刀として分類されます。
平安時代に誕生し、南北朝時代の主要武器として流行しました。
日本刀の柄の長さだけで約5尺(約150cm)あるリーチに優れた特徴があります。
間合いが広く、斬る・刺突・打撃などに優れていたため、長きに渡って使用された日本刀の1つです。
しかし、その長さゆえに味方を傷つけるなど、集団戦闘に不向きな点もありました。
7.槍
槍は鎌倉時代に登場し、安土桃山時代に多く使われた日本刀です。
薙刀と同様に長さが特徴で、「穂」と「柄」を合わせると3〜5mほどにもなります。
種類は穂の形や柄の長さで分けられ、時代によってさまざまな槍が作られました。
戦国時代に槍を使った武将として、加藤清正や本多忠勝が有名です。
日本刀の構造
日本刀本体の構造
日本刀本体は、10個のパーツに分けられます。
- 刀身:刀の本体にあたる部分
- 切先(きっさき):刀身の先端部分
- 刃(は):物を斬る鋭利な部分
- 刃先(はさき):刃の端の部分
- 物打(ものうち):切っ先から3寸(約9cm)ほどの部分。主にこの部分で斬る
- 峰(みね):刃の反対側の背にあたる部分
- 鎬(しのぎ):刀身の中ほどにある刃と峰の境界
- 鎺(はばき):鞘に収めた刀身が抜けないように固定する金具
- 茎(なかご):柄に収まる持ち手側の部分
- 目釘穴(めくぎあな):柄から抜けないように目釘を通して固定するための穴
刀剣の本体を「刀身」と呼び、鞘に収まる部位と柄(つか)に納まる部位に大別されます。
茎(なかご)には、製作者の「銘」や、刀そのものに名付けられた「号」などが刻まれることもあります。
このように、日本刀はそれぞれの部位で名称が細かく分かれていて、知っておくと鑑賞する際に奥深さが知れるので面白いですよね。
刀装の構造
続いて、刀身を包む外装である刀装の構造を見ていきましょう。
- 柄(つか):手で握る部分
- 柄頭(つかがしら):柄の末端。柄を補強するためにつけられた金具
- 目釘(めくぎ):刀身を柄に固定するための留め具
- 鞘(さや):刀身部分を納めて保護するための筒
- 鯉口(こいくち):鞘の口
- 鍔(つば):柄を握る手の保護や、刀全体の重心を調整するためにつける金具
鍔(つば)は、手が刀身まで滑って斬ってしまわないための留めとしての役割があります。
製作者の色や持ち主の好みなどで、鍔は華やかで魅力的なデザインとなっており、鍔をコレクションする人もいるほどです。
また、鍔がずれないように、切羽(せっぱ)と呼ばれる板金が重要な役割を果たしています。
切羽は柄(つか)、鍔(つば)、鎺(はばき)と刀身がしっかりと合致するために必要な部位です。
この部分がちゃんと合致していないと、日本刀を振った際に刀身が柄から抜けて飛び出たりすることがあるため、欠かせないパーツの1つです。
まとめ
今回は日本刀の種類と構造について解説してきました。
短刀や薙刀、槍などのように、一見すると日本刀とは思えない刀剣が、実は日本刀に分類されることは意外でしたね。
ちなみに、日本刀は制作された時代や刀工によって、価値がランク付けされるのも面白いポイントの1つですよ。
この記事を読んで、日本刀への関心をより深めてもらえたら嬉しいです。