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【伝統工芸】日本刀の歴史や種類を解説|特徴や愛刀蒐集家も紹介 - QUON

【伝統工芸】日本刀の歴史や種類を解説|特徴や愛刀蒐集家も紹介

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伝統工芸品の中でも人気な日本刀。

かつては武器や権力の象徴とされていましたが、現在では美術品・工芸品としてさまざまな美術館や博物館に展示されています。

女性からの人気度も高く、日本刀に興味を持つ若い世代の人が増えているのです。

今回は日本刀の歴史や種類、特徴についてくわしく解説していきます。

また日本刀と関わりの深い歴史上の人物も紹介していきますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

日本刀の定義

日本特有の鍛刀技術で作られた刀剣類のこと

日本刀は、刃が良質な玉鋼で造られていることや繰り返し鍛錬で造られている物を指します。

素材に使われる玉鋼は、たたら製鉄によって生産される鋼で、純度の高い鉄が日本刀の元になっているのです。

鋼を溶かし、塊になるまで叩いた後には、不純物を取り除くことと、炭素量を均一化させるために折り返し鍛錬と呼ばれる作業に移ります。

当時、日本刀は「折り返し鍛錬するから強靱になる」と言われており、何度も折り返して数十回叩くことで強く丈夫な鉄が作られました。

玉鋼から作られることと、折り返し鍛錬の作業があることが、日本特有の鍛刀技術・製造過程と言えるのです。

日本古来の作り方に則って作られたものだけが日本刀と呼べる

日本刀の作り方は流派や個人によって異なりますが、主に以下のとおりです。

  1. 水へし・小割り
  2. 積沸し
  3. 折り返し鍛錬・皮鉄造り
  4. 心鉄造り・組み合わせ
  5. 素延べ・火造り
  6. 焼き入れ
  7. 仕上げ

1本ずつ丁寧に作られているため、武器としての機能性が高く、どこか美しさを感じるのでしょう。

同じ刀剣でも、日本で古くから受け継がれてきた作り方に則っている刀だけが日本刀として呼ばれるのです。

日本刀の歴史

いつ、どうして日本刀は作られたのか?と気になりますよね。

ここでは日本刀の歴史について触れていきます。

古墳時代には鉄の加工技術が伝来し刀剣類が作られた

古墳時代に中国から鉄の加工技術が伝わり、日本刀の元と言える上古刀が誕生しました。

上古刀は、反りのない直刀で、「三種の神器」のひとつである「天叢雲剣」(あめのむらくものつるぎ)別名「草薙剣」が有名ですね。

後に、推古天皇や聖徳太子が日本を統一するための戦いが激化したため、武器として上古刀の需要が増え大量に生産されました。

平安時代中期以降に直刀から湾刀に変化

平安時代になり、反りの付いた湾刀に変化し、日本刀と定義される形になりました。

この時代では騎馬戦が主流となっていたため、馬上でも抜刀しやすい、反りの付いた刀が求められるようになったのです。

鎌倉時代中期〜戦国時代には名刀が誕生

鎌倉時代中期〜戦国時代は日本刀の全盛期と言っても過言ではない時代です。

武家が政権を握り、後鳥羽上皇が日本刀を作らせるため御番鍛冶制を設けたことで、日本刀はさらに発展します。

戦国時代には、応仁の乱をきっかけに全国的に争乱が広まり、合戦の規模が拡大したことで、徒歩での集団戦が主流になります。

刀の需要が増え、数打物と呼ばれる日本刀が大量に生産されました。

この時代には上杉謙信の愛刀である備前長船兼光(おさふねかねみつ)、織田信長のへし切長谷部など、数々の名刀が誕生したのです。

江戸時代後期〜現代へ

江戸時代になると、大きな合戦は起きない太平の世になり、日本刀は武器ではなく贈答品として扱われるようになります。

そして幕末以降は銃や火器が戦いの主流となり、日本刀は実戦で用いられることがなくなっていきました。

所持することも法律で取り締まられ、美術品として贈り物や家宝としての価値を見出していきました。

なお、廃刀令以降に作刀された日本刀を「現代刀」と呼びます。

日本刀は、神社のご神体として祀られることもあり、日本人にとって武具以上の意味を持った歴史的な文化的財産と言えるでしょう。

日本刀の歴史についてより詳しく知りたい人は、以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてくだしあ。

日本刀の歴史|成り立ちや年代別での日本刀の役割も紹介

日本刀の種類

日本刀は、形や大きさなどの違いから以下の7つの種類に分類されます。

  1. 直刀
  2. 太刀
  3. 薙刀
  4. 短刀
  5. 打刀
  6. 脇差

それぞれの違いについて見ていきましょう。

1.直刀

出典元:https://www.touken-world.jp/tips/76859/

直刀は、古墳時代から奈良時代にかけて制作された刀を指します。

反りがなくまっすぐか、わずかに内反りで、平造りや切刃造(きりはづくり)となっています。

湾刀との違いは、制作がしやすく安価で、斬るよりも叩いたり突いたりする使い方になります。

2.太刀

出典元:https://www.touken-world.jp/tips/76859/

「断ち切る」を語源とする太刀は、刃長約80cm前後の刀剣のことです。

騎馬戦が主流となった平安時代〜鎌倉時代にかけて生産され、反りが強く長大な特徴があります。

腰から下げ、すぐに抜刀しやすい実践的な日本刀で、博物館などで刃先が下向きに展示されていることが多いです。

3.薙刀

出典元:https://www.touken-world.jp/tips/76859/

薙刀とは、長い柄の先に反りがついた刃を付けた武器のことです。

南北朝時代の主要武器として流行しましたが、その長さゆえに味方を傷つけるなど、集団戦闘に不向きな点もありました。

間合いが広く、斬るだけでなく、刺突や打撃も与えられる武器です。

薙刀の名手である武蔵坊弁慶の愛刀として、「岩融」(いわとおし)が有名ですね。

4.短刀

出典元:https://www.touken-world.jp/tips/76859/

短刀は長さが30cm以内の刀剣を指します。

力のない女性や子供でも扱え、主に護身用の武器として使われていました。

また、邪気や災厄を払うお守りとして扱われる一面もあります。

5.打刀

出典元:https://www.touken-world.jp/tips/76859/

打刀は太刀に続いて武士の間で広く流行した刀剣です。

太刀より軽く、刀身の反りが浅い特徴があります。

主に徒戦用に作られた刀剣で、「大小2本差」と呼ばれる小型の脇差と合わせて帯刀されることが多かったようです。

有名な打刀として、「長曾祢虎徹」(ながそねこてつ)や「村正」(むらまさ)があげられます。

6.脇差

出典元:https://www.touken-world.jp/tips/76859/

脇差は長さが30cm〜60cmの刀剣で、短刀よりは長い刀剣を指します。

その名の通り、脇に差し、打刀と合わせて帯刀されることの多い日本刀です。

二刀流の剣豪として有名な宮本武蔵、新選組の近藤勇なども脇差を使用していたことで有名ですね。

7.槍

出典元:https://www.touken-world.jp/tips/76859/

日本刀のイメージと違うかもしれませんが、槍も日本刀として分類されます。

最大の特徴は、長い柄に「穂」と呼ばれる先の尖った刃が付いていること。

長いリーチから斬る、突き刺すことができ、徒歩での集団戦が多かった室町時代に主力武器として流行しました。

日本刀の種類についてより詳しく知りたい人は以下の記事をどうぞ。

日本刀の種類とそれぞれの特徴を解説!構造や名称なども紹介

日本刀の特徴

片刀で刀身が反っている

日本刀の特徴1つ目は、片刀で刀身が反っていることです。

西洋の剣は両刃で直刀であるのに対して、日本刀は片側にのみ刃があり湾曲しています。

基本的に西洋の剣は重く分厚い構造ですが、薄くて細身の日本刀は切れ味が抜群に良く、斬ることに特化された刀と言えます。

丈夫で切れ味が良い

日本刀の特徴2つ目は、丈夫で切れ味が良いことです。

原材料には砂鉄を製錬した鋼の「玉鋼」が使われており、不純物が少ないことから頑丈な鉄になるのです。

また、刀身が反っていることで切れ味が鋭く、武器として非常に優秀といえますね。

軽量で携帯性が高い

日本刀の特徴3つ目は、軽量で携帯性が高いことです。

70cmの日本刀で、重さは約1kg。

携帯しやすいことから、武士は常に日本刀を腰に差して生活出来ていたんですね。

4部構造になっている

日本刀の特徴4つ目は、4部構造になっていることです。

本体である刀身と、外装品である鞘、柄、鍔の4つから形成されています。

鞘、柄、鍔は「拵」(こしらえ)と呼ばれていて、主に刀身の保護を目的としますが、他にも家柄などを象徴する意味もあります。

鞘、柄、鍔などのデザインも日本刀の魅力の1つです。

刀の長さ・形で呼称が異なる

日本刀の特徴5つ目は、刀の長さで呼称が異なることです。

長さが30cm以内の刀剣は短刀、30cm〜60cmの長さの刀剣は脇差、それ以上は太刀や打刀と呼ばれます。

同じ日本刀でも、それぞれ武器としての使い道が変わります。

刀身に刃文がある

日本刀の特徴6つ目は、刀身に刃文があることです。

刃文は「焼き入れ」によって付けられた焼刃の形状のことで、白い波のような模様が特徴的。

作られた時代、刀匠によって刃文は異なり、日本刀の美しさ・価値を決める上で重要なポイントとなります。

鋼を素材としている

日本刀の特徴7つ目は、鋼を素材としていることです。

かつては銅や青銅を原材料として剣が作られましたが、丈夫さや重さなどが不十分でした。

たたら製鉄によって生産される玉鋼は、不純物の含有量が極めて低く、材質が均一であるため貴重な材料とされています。

日本等の特徴についてより詳しく知りたい人は、以下の記事で詳細に解説していますので、どうぞ。

日本刀の特徴とは?6つの特徴を詳しく解説!よく斬れるのには理由がある

日本刀に魅了された歴史上人物

最後に、日本等に魅了された歴史上の人物を紹介していきます。

それぞれが愛した日本刀もあわせてどうぞ。

足利義輝

室町幕府の第13代将軍である足利義輝は、「剣豪将軍」と呼ばれた人物です。

わずか11歳で将軍となり、塚原卜伝から指導を受けた直弟子の一人で、奥義「一之太刀」を伝授されたと言われています。

足利義輝の愛刀は「基近造」(もとちかつくる)。

徳川家康

天下を統一し、江戸幕府を開いたことで有名な徳川家康。

あまりイメージは無いかもしれませんが、徳川家康は武芸の達人で、剣豪だったと言われている戦国武将の1人です。

徳川家康の愛刀は重要文化財となっている名物・物吉貞宗で、家康がこの短刀を差して出陣すると、必ず勝利を収めたそうです。

明治天皇

実は、愛刀家として知られるのが明治天皇。

約300振もの刀をコレクションしていたと言われています。

中でも、現在では国宝の「岡田切」、「小竜景光」、「津軽正宗」などの日本刀が有名です。

上杉謙信

戦国時代の最強武将と言われる上杉謙信。

愛刀家でもあり、後に上杉景勝に多くの名刀を引き継いでいます。上杉景勝の名刀リストは「上杉家御手選三十五腰」としても有名です。

上杉謙信の愛刀は国宝の「山鳥毛一文字」、重要文化財の「姫鶴一文字」、重要美術品の「国宗」などがあげられます。

有名な武田信玄との川中島の戦いで使われた日本刀は、「典厩割国宗」(てんきゅうわりくにむね)で、現在では京都の井伊美術館に所蔵されています。

まとめ

今回は日本刀の歴史や種類、特徴について解説してきました。

日本刀は長さや形によって名称が変わったり、機能性や使い方も変化するところも魅力の1つです。

また、刀に関連する歴史や人物についても知っていくと、さらに興味が湧くこと間違いないですよ。

本来武器である日本刀ですが、美しさや魅力の詰まった伝統工芸品なので、この記事を読んで少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいです。

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