洋服を買う際に、自分のサイズがわからないという方はあまりいませんが、普段着物を着ない方は、どのようなサイズの着物を着ればいいかわからないという方も多いでしょう。
着物のいいところはサイズが合わなくても着られるところでもありますが、自分の体に合ったものは着崩れにくく、快適に過ごすことができます。
今回は、初心者向けに最低限ここを知ってほしい、という部分をピックアップし、着物の各パーツの名称と、採寸方法、どのパーツと対応するかを解説していきます。
着物のサイズを表す箇所の名称
身丈(みたけ)
身丈とは、簡単に言うと着物の長さです。肩口から裾までの長さを測ります。
『身丈=自分の身長』が一番ぴったりのサイズとなります。ただ、前後5cm以内であれば、問題なく着ることができます。それ以上差があっても着ることはできますが、短い場合おはしょりが短くなる、また対丈(ついたけ)で着ることになります。長いときは着付け方で調整することはできますが、もたつきや着崩れの原因になるため、できれば大きすぎない方がよいでしょう。
裄丈(ゆきたけ)
裄丈とは、腕の長さを指します。着物のどこに対応するかというと、衿の中心(背中心)から袖の先までの長さになります。
体を測る際は、肩と背骨の交差する部分から肩先を通って手首までの長さを測ることになります。腕下方向にを斜め45度くらいにすると正確に測れます。
測った長さと同じとするのが一般的です。ただ、動きやすさから少し短めに着る方、寒い時期は少し長めがいいという方などがいらっしゃいます。
袖丈(そでたけ)
袖丈は、裄丈と混同しやすいですが、腕の長さではなく袖の上から下までの長さを指します。
先の二つとは違い、気姿や着崩れにくさよりは、TPOに関わってきます。袖丈が長いものから順に大振袖、中振袖、二尺袖、通常の着物、となります。
通常の着物の標準は49cm前後です。袖丈は、下に着る襦袢や上に着る羽織とサイズが合っていると隙間ができたり余ったりせずにきれいに着ることができます。
前巾・後巾(まえはば・うしろはば)
前巾と後巾は、前側の半分または後川半分の端から端までの長さで、腰回りのサイズに関わります。前巾×2、後巾×2の合計が腰回りの長さとなります。ただ、着物には衽(おくみ)と言われる15cm程度の幅もありますので、長さが足りなくても多少の余裕はあります。
着物以外の小物のサイズは?
着物本体(長着)以外の帯や襦袢のサイズも知っておきましょう。
長襦袢
長襦袢は着物の下に着ます。長襦袢のサイズは、身長×0.85の身丈がぴったりのサイズとなります。もしくは、身長-25cm前後であれば女性の身長であれば問題なく着られるサイズとなります。
『長襦袢の身丈 = 身長×0.85』
帯
帯には半幅帯、名古屋帯、袋帯といった種類があります。半幅帯と袋帯の多くは約4mで作られているものが多く、結び方も様々なので、あまり長さに神経質になる必要はありません。
名古屋帯に関しては、基本的にお太鼓結びか銀座結びにすることが多いため、ある程度ちょうどよい長さが決まってきます。全通と言われる全体に柄が入ったものではなく、ワンポイントの柄であれば、なおさらサイズが合っていないときれいに柄が出ません。名古屋帯の一般的な長さは3m50cm前後で、普通体型の方であればちょうどよいサイズになります。長い分には調整がききますが、これ以上短いときれいに帯の形が作れなかったり、着崩れてしまったりします。
サイズの合わない着物はどうする?
着物のサイズについて詳しくお話してきましたが、サイズが合わないからと言って着られないわけではありません。
例えば、身丈が短い場合はおはしょりを作らずに対丈で着たり、おはしょりを作る代わりに裾を短く着付け、中にプリーツスカートを履いて裾から見せたり、といった着方もあります。
また、アンティーク着物は裄の短いものも多く、フリルなどの付け袖を活用する場合もあります。
アレンジして着るのではなく、お直しに出してしまうというのも一つの手です。ただ、裄丈が長い場合に短く詰めるなどは可能ですが、長さ出しには限界があるので、お店で確認してもらいましょう。
まとめ
自分のサイズに合った着物を着ることは、気姿が美しくなるだけでなく着崩れの防止や動きやすさにもつながります。マイサイズに仕立てられれば一番いいのですが、初心者にはハードルが高いのも事実です。
まずは仕立て上がりの着物や、アンティーク・中古の着物から始められる方が多いと思われますので、購入際に、ぜひ参考にしてみてください。