刀剣類の中でも、世界的に評価の高い日本刀。
なぜ日本刀は工芸品・美術品としての価値が高く、人気なのでしょうか?
その理由は、日本刀だけが持つ魅力があるからです。
今回は、日本刀の6つの特徴についてわかりやすく解説していきます。
意外と知らない日本刀だけの特徴や魅力について深掘りしていきますよ。
以下の記事では日本刀の歴史や種類、特徴を紹介していますので、網羅的に理解したい人におすすめです。
→【伝統工芸】日本刀の歴史や種類を解説|特徴や愛刀蒐集家も紹介
日本刀とはどんなもの?
「そもそも、日本刀ってなんなの?」と、疑問を持っている方もいるでしょう。
まずは、日本刀とは?という部分から説明していきますね。
日本独自の方法で作られた刀剣類の総称
日本刀は、日本独自の技術・方法で作られています。
刃は良質な「玉鋼」を素材として造られていて、純度の高い鉄が日本刀の元になっているのです。
また、折り返し鍛錬と呼ばれる日本の刀匠独自の技術が製造工程に含まれています。
西洋の剣と比較すると、日本刀は薄くて細身な見た目をしており、片刃で反りがあります。
一方、西洋の剣は厚くて太身な見た目、両刃で反りが無い剣が多く、パッと見でも違いが明らかです。
日本刀の刀身の寸法によって種類が分けられる
一口に日本刀と言っても、種類はさまざまで、刀身の寸法によっても分けられます。
博物館や美術館でよく目にする、刃渡りが2尺(約60cm)以上の刀を「太刀」「打刀」と呼びます。
刃渡り1尺(30cm)以上2尺(60cm)未満の刀は「脇差」、刃渡り1尺(30cm)未満の刀は「短刀」と呼ばれ、同じ日本刀でも別の種類に分かれているのです。
また、柄の長さだけで約5尺(約150cm)ある「薙刀」や「槍」なども、日本刀として分類されます。
日本刀の特徴は大きく6つ!
日本刀の特徴1.刀身が孤状に反っている
日本刀の特徴1つ目は、刀身が孤状に反っている点です。
映画や時代劇などで、侍が手にしている刀は孤状に反っているものがほとんどですよね。
先程お伝えした通り、西洋の剣などは直刀が主なのに対して、日本刀は湾刀が主流です。
日本刀の特徴2.軽い、折れない、よく斬れる
日本刀の特徴2つ目は、「軽い、折れない、よく斬れる」という点です。
薄く細身なため、重さは約1kg程度の軽さです。
一見簡単に折れてしまいそうな見た目ですが、丈夫な鉄を使い職人が丁寧に鍛錬しているので、折れにくい刀でもあるのです。
また孤状に反っているため、振り下ろした際に引き切りと自然になり、切れ味が鋭くなる形になっています。
上記のことから、日本刀は「軽い、折れない、よく斬れる」として有名です。
日本刀の特徴3.4部構造になっている
日本刀の特徴3つ目は、刀が4部構造になっている点です。
日本刀は、本体である刀身と、外装品である鞘、柄、鍔の4つの部分から形成されています。
鞘、柄、鍔は「拵」(こしらえ)と呼ばれていて、主に刀身の保護を目的としますが、他にも家柄などを象徴する意味もあります。
刀身だけでなく、鞘、柄、鍔などの「拵」は美術的観点からも重要な部分で、美しさやたくましさを感じられる魅力の1つと言えるでしょう。
日本刀の特徴4.長さによって日本刀の呼び名が違う
日本刀の特徴4つ目は、長さによって日本刀の呼び名が違う点です。
前述した通り、同じ日本刀の括りでも、長さによって呼び名が変わります。
最もポピュラーな「太刀」「打刀」は、刃渡りが2尺(約60cm)以上の刀を指します。
それより小さい刃渡り1尺(30cm)以上2尺(60cm)未満の刀は「脇差」、刃渡り1尺(30cm)未満の刀は「短刀」と呼ばれ分類されています。
他にも「薙刀」や「槍」などのように、長い日本刀も存在しますよ。
それぞれ作られた時代の戦い方に適した大きさ、形をしていて、武器から時代の背景も読み取ることができます。
日本刀の特徴5.刃文がある
日本刀の特徴5つ目は、刃文がある点です。
刃文は「焼き入れ」によって付けられた焼刃の形状のことで、白い波のような模様をしています。
焼刃土と呼ばれる土を焼入れ前に塗ることで、綺麗な模様が刃に浮かび上がるのです。
作られた時代、刀匠によって刃文は異なり、日本刀の美しさ・価値を決める上で重要なポイントとなります。
日本刀の特徴6.素材が鋼である
日本刀の特徴6つ目は、素材が鋼である点です。
たたら製鉄によって生産される「玉鋼」を使って、日本刀は作られています。
玉鋼は不純物の含有量が極めて低く、材質が均一であるため、薄くても折れにくい頑丈な刀に仕上がる重要な素材です。
西洋の剣は、金属を液体にして型に流し込む方法で作られますが、日本刀は素材からこだわりいくつもの工程を経て完成します。
手間がかかっている分、非常に質の高い丈夫で切れ味の良い刀が出来上がるのです。
【種類別】日本刀の特徴
最後に、作られた時代に分けて、日本刀の特徴を紹介していきます。
古刀の特徴
古刀は、901年以降の平安時代中期から、安土・桃山時代末期の1596年(慶長元年)までに制作された日本刀を指します。
901年より前に作られた刀は、直刀で真っ直ぐな形をしていました。
しかし平安時代中期に入ると、騎馬戦が主流となり、馬上でも簡単に抜ける湾刀が誕生しました。
「鎬造り」と呼ばれる日本刀の基本的な形が、平安時代中期に古刀として世に広まりました。
新刀の特徴
安土桃山時代末期から江戸時代中期に、作られた日本刀が新刀です。
新刀の特徴として、刀身の反りが浅く、地鉄は整っています。
また、刃文が大胆で美しい模様が多く、見た目の美しさも特徴です。
新々刀の特徴
新々刀は、1781年(天明元年)の江戸時代後期から、1876年(明治9年)までに制作された日本刀を指します。
江戸幕府が開設されて以降、長い泰平の世が続いたため、日本刀はほとんど武器として使われなくなりました。
しかし、江戸時代後期には、再び日本刀の需要が高まり、実戦向きの日本刀が多く作られました。この時代に作られた日本刀が、新々刀と呼ばれています。
新々刀は、五箇伝の特徴を取り入れて作られていて、刀身の幅が豊かで切れ味が鋭い名刀がたくさんあります。
現代刀の特徴
現代刀は、1876年(明治9年)の廃刀令以降に制作された日本刀です。現代の刀工が古来の鍛法で、玉鋼を使って作った日本刀のことを指します。
武器として帯刀することが禁じられはしたものの、制作自体は禁止されなかったので、美術品・工芸品として作られたものが多いです。
五箇伝を自由に取り入れ、刀工によって個性が感じられる作品が多い特徴があります。
まとめ
今回は、日本刀の6つの特徴と素材について解説してきました。
素材として玉鋼を使い、日本独自の技術・方法で作られています。
おさらいすると、日本刀の特徴は以下の6つです。
- 刀身が孤状に反っている
- 軽い、折れない、よく斬れる
- 4部構造になっている
- 長さによって日本刀の呼び名が違う
- 刃文がある
- 素材が鋼である
1本作るのにかなりの手間と労力がかかっており、その分質が高く世界的にも評価の高い日本刀は、日本の誇る文化・財産と言えますね。