「アニメ」や「漫画」は世界的に大人気で、ジャパニーズカルチャーをけん引する存在となっています。現在の日本文化の象徴である「アニメ」と、古来からの日本の文化である伝統工芸品をなんとか融合できないかと考えたのが、この「アニメ八十八箇所巡り」です。お遍路巡りになぞらえて、日本各地のアニメの聖地とその地域に伝わる伝統工芸品を紹介していきます。
ガールズ&パンツァーとは

通称『ガルパン』。アニメ制作会社アクタスのオリジナルアニメ。
監督は『終末トレインどこへいく?』や『SHIROBAKO』でも知られる水島努さん、構成・脚本は『けいおん!』などを手がける吉田玲子さんが手がけました。
そのほか、キャラクター原案や総作画監督にも豪華スタッフを迎え話題に。
2012年10月に放送が開始されると、個性的なキャラクターと『戦車道』という新しいジャンルによってファンが急増。実在する戦車のリアルな描写と学園もののポップな雰囲気が絶妙に組み合わさり、コアなミリタリーファンからアニメファンまで幅広い支持を獲得しました。
2015年11月には劇場版が公開され、最終章として全6話が予定されています。現在は4話まで公開されており、続編の公開が期待。
一方で2025年3月にはスピンオフ作品のアニメ化が決定し、全4幕で上映予定。
2012年の放送開始から今もなお更新され、今後の上映を楽しみにするファンもたくさん。舞台となる茨城県大洗町とのコラボも話題となり、聖地巡礼の先駆け的存在としても知られています。
あらすじ
華道や茶道と並び、戦車を使った『戦車道』が女子の嗜みとされる伝統文化がある世界。実際の戦車を用いて行われる戦車道は、装甲と戦術、礼儀を重んじる独特の文化。
主人公西住みほは、戦車道の名門一家に生まれながら、かつての出来事が原因で競技から距離を置いていました。
静かに学校生活を送りたいと、戦車道が行われていない高校へ転校。しかし転校先の大洗女子学園でも過去に行っていた戦車道が復活することに。
生徒会長から半強制的に戦車道へ参加するよう呼びかけられ、再びその道に関わることになったみほ。全国大会での優勝を目指し仲間たちとチームを結成。
再度戦車道に関わることに消極的だったみほですが、個性豊かなメンバーとともにぶつかり合い、絆を深めながらもう一度戦車道と向き合います。
自分自身とも向き合い、戦車道というものへ向き合う姿が描かれます。
ほとんどが未経験の中、強豪校との激戦。
戦いの行方は…。
【聖地巡礼】ガールズ&パンツァーに登場する茨城県大洗町の場所は?
茨城県の東に位置し、海に面する地域ですが市街地には後方に丘陸があり、畑、山林も多く自然豊かな地域。
ガルパンと公式コラボをし、町おこしの一環で様々なイベントを開催。多くのファンが足を運びます。
今回はそんな大洗町の聖地と、より魅力を引き出すべく伝統文化をご紹介します。
ガールズ&パンツァーの聖地1:大洗まいわい市場

第4話で登場するまいわい市場。作品中でもそのまま登場し、入り口など詳細に描かれています。
『まいわい』という名前には、万祝や間祝といった、漁の大漁を祝う際に配られた反物に由来する言葉が使われています。そんなまいわいの精神で、来場者へ大洗や茨城の良さを伝えるべく、建てられたのがこの市場。
茨城県のお土産で有名な干し芋や干物、地酒を取り扱っています。
海に面している大洗ですが、山の幸も豊富。梅、栗、納豆など栄養満点なものがたくさん!
ガルパンとのコラボでギャラリーを設置したり、限定のグッズも販売。まさに聖地として訪れたい場所ですね。
『まいわい市場』の詳細
住所 | 茨城県大洗町港中央11-2 |
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アクセス | バス:大洗駅から循環バス海遊号に乗車、大洗サンビーチルート「大洗わくわく科学館・大洗リゾートアウトレット前」下車 車:常磐自動車道「友部JCT」より約20分東関東自動車道「潮来IC」より約60分 |
ガールズ&パンツァーの聖地2:大洗磯前神社(おおあらいいそさきじんじゃ)

海を望む高台に建つ歴史ある神社。
創建は平安時代とされ、海の守り神として地元の人々に親しまれてきました。鳥居が海に立つ景色は特に有名で、鳥居から昇る日の出は圧巻です。
厳かな雰囲気の中で、自然の美しさと信仰の深さを感じられる場所。観光や散策の際には、心を落ち着けて立ち寄りたいスポットのひとつ!
劇場版の冒頭で登場する大洗磯前神社。
境内には大きな絵馬も飾られ、歴史ある神社とアニメのコラボが見られる珍しい景色。
アニメに登場している地でキャラクターと一緒に写真を撮れるのは何とも嬉しいですね。
『大洗磯前神社』の詳細
住所 | 茨城県東茨城郡大洗町磯浜町6890 |
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アクセス | 電車・バス:鹿島臨海鉄道大洗鹿島線「大洗駅」よりタクシー5分 車:北関東自動車道水戸大洗ICから約5.5km |
ガールズ&パンツァーの聖地3:大洗海岸

大洗海岸は、広々とした砂浜とゴツゴツした岩場が特徴。
海岸が真東を向いており、素晴らしい日の出を拝めることでも有名。
日本の渚百選、白砂青松百選に選定され、自然を感じられる人気の海辺です。
夏には海水浴や磯遊び、サーフィンなどのマリンアクティビティが楽しめます。
散歩コースとしても気持ちよく、四季折々の風景を眺めながら、大洗の海を身近に感じられるスポット。
作中では劇場版のクライマックスシーンで戦車が海岸を走り抜ける際に登場。
砲撃戦が繰り広げられる中、大洗シーサイドホテルが被弾し破壊されましたが、海岸からそのホテルをみることもできます。
どの位置から見えるか探してみてくださいね。
『大洗海岸』の詳細
住所 | 茨城県茨城群大洗町磯浜町 |
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アクセス | 鹿島臨海鉄道「大洗駅」下車、またはJR常磐線「水戸駅」からバスで30分 |
ガールズ&パンツァーの聖地4:肴屋本店

茨城県大洗町にある老舗の旅館。明治初期から七代にわたり引き継がれ、創業100年以上の歴史を誇ります。
新鮮な海の幸と温かなおもてなしが魅力で、観光や海辺の散策の拠点として親しまれています。
割烹旅館ならではの料理は絶品。料理を目的に訪れる人も多くいるとか。
第4話で登場し、あんこうチームのメンバーが試合前夜に宿泊するシーンに使われました。実際の建物がリアルに描かれており、館内には関連グッズやサインなども飾られています。ファンにとっては特別な場所。
聖地巡礼の際にはぜひ泊まりたい宿ですね。
『肴屋本店』の詳細
住所 | 茨城県東茨城郡大洗町磯浜町715 |
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アクセス | 電車でお越しの場合JR水戸駅にて大洗鹿島線に乗換、大洗駅で下車 大洗駅よりタクシーで約5分 ※大洗駅までの送迎有り お車でお越しの場合常磐自動車道友部JCTから北関東自動車道へ。「水戸大洗IC」で下りてから約10分 |
茨城県の伝統文化
関東の北東に位置する茨城県。海と山に囲まれた自然豊かな場所。
昔は『常陸国(ひたちのくに)』と呼ばれました。
奈良時代にはすでに国府が、江戸時代には水戸藩が置かれ、水戸黄門で有名な徳川光圀が活躍。
歴史ある地域として知られています。
今では農業や工業もさかんで、観光やグルメも楽しめる県です。
昔からの伝統を大切に引き継いでいる地域も多く、今回は抜粋して素敵な伝統文化をお伝えしていきます。
伝統工芸1:結城紬(ゆうきつむぎ)

奈良時代から鬼怒川流域で作られた絹織物。当時は『あしぎぬ』と呼ばれ、朝廷に上納されていました。
その後鎌倉時代に領主であった結城氏の名をとり、現在の名に。
江戸時代に入ると、結城紬の改良され新たな染法が生まれます。大正時代には経緯絣(たてよこかすり)という技術ができ、戦後にはより軽くて細かい布へと発展。
真綿から一本一本手で紡がれる糸から出来上がった着物は保温性や柔軟性に優れています。
約1300年前から引き継がれる紬。時代の中で改良され、今でも最高峰の絹織物として生産されています。
伝統工芸2:笠間焼

茨城県笠間市の伝統工芸品。
笠間では縄文時代や弥生時代の土器、奈良時代から平安時代の窯跡が見つかっており、古代からやきもの作りが行われてきました。
笠間の小さな窯業地では、職人や作家、商人たちが手を取り合い長い歴史に。
笠間焼は江戸時代中期から確立され、現在へ引き継がれています。
自由な作風と装飾技法が大きな特徴。
壺からすり鉢、椅子、陶板まで幅広く制作されており、温かい雰囲気が思わず手に取りたくなる作風です。
記念として、ぜひお土産にいかがでしょう。
伝統芸能1:撞舞(つくまい)

茨城県龍ケ崎市で行われる伝統芸能。
諸説ありますが、中国の民間芸能である尋舞(つくまい)が日本に伝わり、雨ごいや五穀豊穣等の願いが付け加えられ、神事と結び付いたことが起源とされています。
国選択無形民俗文化財、茨城県指定無形民俗文化財に指定され、伝統の舞が今なお人々を魅了し続けています。
あわせて演奏されるお囃子『おごど囃子』が舞を盛り上げ、高さ14mの綱の上で、2人の舞男が様々な技を披露。
毎年7月下旬の八坂神社祇園祭最終日に行われます。聖地巡礼と合わせてぜひ見学してみては。
伝統芸能2:磯節

磯節は、茨城県の大洗や那珂湊の海辺で生まれ育った民謡で、日本三大民謡のひとつ。
起源ははっきりしていませんが、江戸時代後期にはすでに漁師たちの間で唄われていたと伝えられています。
その後、三味線の伴奏がつき、座敷唄として拡大。
芸者や舞妓などが活躍する伝統的な社交・芸能の世界で親しまれる格調高い民謡へと発展しました。
水戸出身の名力士である常陸山はこの唄をこよなく愛し、巡業のたびに唄わせていたことから、全国にもその名が広がっていきました。
ひたちなか市のホームページでは磯節レクチャー動画が初級から上級に分けて配信されています。
生で聞いてみたいですが、その前にどんなものか動画で見ておくのもいいですね。
みなさんもぜひホームページを覗いてみては。
郷土料理1:しもつかれ

正月や節分の残り物を活用して作られる、西部地域に伝わる郷土料理。
冬の栄養補給や保存食としても優れており、サケの頭や節分豆、根菜などを酒粕と一緒に煮込んで作られます。
鎌倉時代の文献にも登場するほど歴史が深く、『すみつかれ』と呼ぶ地域もあり、名前の由来ははっきりしていません。
地域や各家庭ごとに味が違うのも魅力。
たくさん作ることで美味しさが増し、余ったものは近所に配るのが習わし。
7軒分のしもつかれを食べると病気をしないという言い伝えもあるそうです。
郷土料理2:赤餅

鎌倉時代に群馬県から茨城県坂東市に伝わった赤餅。
利根川流域では水害によって多くの作物が被害を受ける中、背丈が高く冠水に強いもろこしは重宝されました。
米が水害で貴重になることもあり、その代用品として主食にされたほか、農作業の合間のおやつとしても親しまれていました。
現在は工夫して水田が作られているため、むしろもろこしを作る人は少なく、希少な食材に。
赤餅はもろこし粉でつくるものなので、現代ではなかなか貴重な料理。
伝統文化を伝えるため学校の授業で調理実習のメニューとして取り入れられているそう。
聖地巡りをした人の口コミ
まとめ
戦車道というマニアックなジャンルながらも、戦車のリアルさと、女子高生の青春がかけ合わさり独特な世界観でファンを魅了した作品。
そんな作品の舞台となったのは茨城県大洗町。
作品中でも大洗という言葉がそのまま使われ、聖地巡礼の先駆けとなる町とアニメのコラボをいち早く取り入れたことも話題に。
本文でもご紹介しましたが、茨城県は奈良時代から国府が置かれ、自然豊かな地とともに発展を遂げた地域です。
その時代から受け継がれる伝統文化も多く、古き良き日本の伝統を感じることができます。
伝統芸能は開催時期もあるので聖地巡礼のタイミングと合わせて行ってみるといいですね。
一方で工芸品は随時体験ができる場所もいくつかあるので、思い出作りにぜひ自分で作るという体験をしてみてはいかがでしょうか。
実際に訪れてみると、もっと素敵な発見があるかもしれません。
聖地巡礼に行く際は、ぜひ茨城県の伝統文化を体感してみてください。