「アニメ」や「漫画」は世界的に大人気で、ジャパニーズカルチャーをけん引する存在となっています。現在の日本文化の象徴である「アニメ」と、古来からの日本の文化である伝統工芸品をなんとか融合できないかと考えたのが、この「アニメ八十八箇所巡り」です。お遍路巡りになぞらえて、日本各地のアニメの聖地とその地域に伝わる伝統工芸品を紹介していきます。
ゆるキャン△とは

2015年に連載が開始された『女子高生×キャンプ』をテーマとした漫画が原作。
2018年にはテレビアニメ、2020年には実写化ドラマが放送されるなど、大人気のアウトドア系作品。現在もテレビアニメシーズン4が制作決定されるなど、連載中の漫画に続きアニメでも人気が絶えません。
メインキャラクターの声優には他作品でも活躍をしている方々を迎え、豪華声優陣となったことも話題になりました。
『キャンプ』という少し特定されたジャンルですが、美しい自然や、ゆるやかな日常生活が描かれ、そのゆるさに魅了される人が続出。
また、漫画を通してキャンプへの興味が高まる人が増加。『ソロキャン』と呼ばれる1人キャンプが流行したきっかけのひとつとも言われています。
作品内では、原作者『あfろ』本人が、体験や取材で培ったキャンプノウハウを忠実に表現。
実在する場所やキャンプで実際に使用する道具の再現性が高いと、もともとキャンプ好きだった人にも高評価を得ています。
実際に存在する場所や物で現実感はありつつも、キャラクターたちが醸し出すゆるっとした空気感がたまらない作品です。
あらすじ
主人公の志摩リンは、ソロキャンプが趣味の女子高生。
季節が冬に移り変わる頃、リンがキャンプ場へ向かうと外のベンチで眠っている女の子が。
その女の子はもう1人の主人公、各務原(かがみはら)なでしこ。なでしこはキャンプではなく富士山を見るために自転車を漕ぎ、疲れ果て寝過ごしていたのです。
物語は、そんな2人の偶然な出会いから始まります。
なでしこは、リンとの出会いをきっかけにキャンプに興味を持ちます。
高校に『野外活動サークル』があり、早速入部。部員である大垣千秋、犬山あおいとともにサークルの活動を通じてキャンプの楽しさに引き込まれていきます。
リンはというと、ソロキャンプとして楽しんでいたため、誰かと活動することに消極的でした。
しかし、SNSを通じてなでしこやサークルのメンバーと交流を持つように。
それぞれのキャンプ体験を共有するうちに心の距離が縮まり、一緒に行動することが増えていきます。
その後、リンやなでしこを中心に女子高生の日常やキャンプをする姿が描かれます。
【聖地巡礼】ゆるキャン△に登場する山梨県・長野県・静岡県の場所は?
作品内では実在する地名がでており、忠実な再現の下に風景が描かれています。
それぞれのシーンと重ねながらご紹介していきますね。
ゆるキャン△の聖地1:浩庵(こうあん)キャンプ場

本栖湖(もとすこ)にあるキャンプ場。
第1話でリンとなでしこが出会う場所、風景や受付の建物も実際のままに描かれています。
千円紙幣に描かれている逆さ富士。この本栖湖が撮影地になっていたこと、ご存じでしょうか。
富士五湖の中でも一番透明度が高く、青く澄んだ湖ではキャンプはもちろん、カヌーやダイビング、ウィンドサーフィンまで楽しめます。
キャンプ場は、湖に近いところや森林の中にもあり、気分によって様々な風景を楽しみながら利用できそうですね。
『浩庵キャンプ場』の詳細
住所 | 山梨県南巨摩郡身延町中ノ倉2926 |
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アクセス | 中央自動車道河口湖ICから車で30分 中部横断自動車道下部温泉・早川ICから車で40分 富士急行線河口湖駅からバスで50分 |
ゆるキャン△の聖地2:ほったらかし温泉


作中では、なでしこが所属する野外活動サークルが初のキャンプへ向かう際、途中で訪れた場所。
テレビや雑誌などでも度々とりあげられる温泉。
名前にインパクトがあり、みなさんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
日の出1時間前からオープン。甲府盆地と富士山を目の前にした素晴らしい景色が広がります。
夜は日本三大夜景にも選ばれており、宝石のような夜景と星空が夜空。一度は見てみたい景色ですね。
泉質はアルカリ性単純温泉で、刺激が少ないため老若男女問わず楽しめる温泉。
肌がすべすべになり、湯冷めしにくい特徴を持っています。
一日の始まり、または聖地巡礼でたくさん動いた身体を癒しに、ぜひいかがですか?
『ほったらかし温泉』の詳細
住所 | 山梨県山梨市矢坪1669-18 |
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アクセス | 中央自動車道 勝沼ICまたは一宮御坂ICからそれぞれ約25分 JR中央本線 山梨市駅からタクシーで約10分 |
ゆるキャン△の聖地3:陣馬形山キャンプ場
標高1445mの山頂にある1日20組限定のキャンプ場。
中央アルプスと南アルプスの中心に位置し、日本一の谷である伊那谷を眺められます。
日の出から雲海、夕焼け、満天の星で埋め尽くされる夜空、時間とともに移り変わる美しい景色は圧巻。
エリアは3種類あり、360°パノラマエリア、空エリア、森エリアとそれぞれの場所で違う雰囲気を味わえます。
作中では第10話に登場。美しい星空が広がる風景が描かれています。
施設に宿泊して、同じ景色の場所を探してみるのも面白そうですね。
『陣馬形山キャンプ場』の詳細
住所 | 長野県上伊那郡中川村大草1636陣馬形山キャンプ場 |
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アクセス | 名古屋方面より 中央自動車道 松川ICから21km / 50分 関東方面より 中央自動車道 駒ヶ根ICから 29km / 60分 |
ゆるキャン△の聖地4:まかいの牧場
富士山のふもとにある、まかいの牧場。
広大な土地には動物と触れ合えるほか、1日を通して楽しめるスポットがたくさん!
第11話で登場するこの牧場は、野外活動サークルでクリスマスキャンプを行う際に、買い出しで訪れる場所。作中にでてくるジェラートも実在します。
アニメの中でおいしそうだなぁと思ったものが実際に食べられるとは、ファンとしては胸が高まりますね。
そんなまかいの牧場は、様々な食の体験教室や、農園で野菜作りをするなど、日々口にしているものを自分の手で作る貴重な体験ができます。
また、グランピング施設も併設。素敵な部屋で富士山を眺めながら過ごす時間は、癒されること間違いなし。
『まかいの牧場』の詳細
住所 | 静岡県富士宮市内野1327 |
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アクセス | JR富士宮駅 富士急行バス 富士山駅方面行きで約25分 新東名高速新富士ICから車で約30分 |
山梨県の伝統文化
富士山を代表に、自然が豊かな山梨県。
澄んだ空気と各方面にそびえたつ山々は、都会では味わえないロケーションです。
そんな山梨県にも古くからの様々な伝統文化が残っています。
今回は有名な郷土料理も含め、色々な伝統についてご紹介。
ゆるキャン△の聖地としても素晴らしい自然が映し出されていますが、ぜひ山梨県の伝統に触れ、より聖地の魅力を知ってみてはいかがでしょう。
伝統工芸1:甲州印伝

400年以上前から山梨県で伝わる革工芸品のひとつ。
鹿革でできた作品は、軽くて丈夫。
印伝は、漆で柄をつける『漆付け技法』、いぶして色付けをする『燻べ技法』、型紙を使って色ごとに順番に模様をつけていく『更紗技法』を用いて作成されることが特徴です。
使えば使うほど手に馴染み、自分だけの風合いに。
漆の模様も時間とともに色がはっきりし、落ち着いた艶が出てきます。
昭和62年には国指定の伝統工芸品にも指定され、細やかな技法や職人技が今でも大切に引き継がれています。
伝統工芸2:甲州武者のぼり鯉のぼり

子供のたくましい成長を願い、手染めでつくられるのぼり。
武者のぼりの歴史は古く、江戸時代後半、戦国時代の名残で節句の祝いとしてのぼりが立てられるようになったことが起源と言われています。
すべて手作業のもと、制作技法、下絵(川中島の戦い、富士の巻狩りの絵)も江戸時代から変わらず、現在も歴史が引き継がれています。
鮮やかな色合いが特徴的な鯉のぼりは、現代のライフスタイルに合わせミニバージョンも制作。
こどもの日に日本の歴史ある伝統工芸品で、お家を飾るのも素敵ですね。
伝統工芸3:甲州手彫印章

江戸時代、山梨県の御岳山系に巨大な水晶鉱が発掘。1837年に水晶加工工場ができ、発展しました。
水晶原石が取れる地域は少なく、水晶手彫印章はこの地域ならではの工芸品。
印章分野で伝統工芸品の指定を受けているのは、なんとこの甲州手彫印章のみ。
指定の技法で制作されたものは、産地組合等が行う検査に合格すると伝統証紙が貼付されます。
自分の名前が掘られる大切な印章。伝統的な価値があると証明されるのは少し特別な感じがして、素敵ですね。
伝統芸能1:天津司舞(てんづしのまい)

山梨県小瀬町にある天津司神社に伝わる人形芝居。
約900年という、人形芝居の中で日本最古の歴史を持ち、国の重要無形民俗文化財に指定。
毎年4月に行われる舞は、天津司神社から鈴宮神社まで人形9体が赤い布で顔をおおわれた状態で練り歩きます。境内に着くと人形の顔を出し30分ほど舞が行われ、保存会の方々が笛や太鼓の音にあわせて人形を操ります。
春に行われる舞は、桜を背景にするので風情も感じられ、趣のある景色です。
日本最古の人形芝居、ぜひ一度はみてみたいですね。
伝統文化2:甲府ばやし

旧甲府市内に伝わる伝統的なお囃子。
5人1組で演奏し、『和歌囃子』や『お祭り囃子』、または『馬鹿囃子(ばかばやし)』とも呼ばれています。
『馬鹿囃子』という名前は、昔とても人気があったことからつけられたとか。
江戸時代、甲府は小江戸(こえど)と呼ばれるほどにぎやかな町でした。お祭りの際、町ごとに立派な山車(だし)を出して、お囃子をにぎやかに演奏して競い合い、お祭りの雰囲気を盛り上げていました。
この伝統は今でも受けつがれていて、恵比寿講(えびすこう)などの地域のお祭りでは、昔のままのスタイルで甲府囃子が演奏されています。
郷土料理1:ほうとう

みなさん、ほうとうはご存じなのではないでしょうか?
有名な山梨県の郷土料理。
小麦粉を練った平打ち麺に様々な野菜と肉を入れて味噌仕立ての汁で煮込む料理。かぼちゃや芋類、季節の野菜がたくさん入っており、栄養満点です。
山梨県は水田が少なく、米が貴重だったため代わりに食べられていたのがこのほうとう。
諸説ありますが、平安時代から存在していたと言われています。
山梨県内にはほうとうを食べられるお店がたくさん!
お店ごとによってアレンジが加わり味が違うため、山梨県に立ち寄った際はいろいろなほうとうを試してみては。
郷土料理2:あべかわもち

静岡県が本場の安倍川餅。
昔、作物があまりとれなかった山梨では、男性が静岡へ出稼ぎに。
出稼ぎから帰ってこれるのはお盆や正月の時期。
その際にお土産として持ち帰ったことから山梨県でも根付き、お盆の時期に欠かさず食べられています。
お盆の時期には黒蜜ときな粉がセットになったものがスーパーや和菓子店に多く並びます。
静岡県では丸いお餅ですが、山梨では四角いものが代表的で、真っ白な餅に黒蜜ときな粉がかかったもの
どんな違いがあるか実際に召し上がってみてはいかがでしょう。
聖地巡りをした人の口コミ
まとめ
女子高生×キャンプをテーマにし、ロケ地や食べ物などを現実そのままに描いたゆるキャン△。
キャンプ好きでない人も、もともとキャンプ好きだった人もハマる人が続出。
実際のロケ地ともコラボレーションしたりと、まさに聖地巡礼したくなる魅力がたくさんありますね。
今回聖地を含め伝統文化をご紹介した山梨県。
富士山が有名ですが、他にもたくさん魅力があることをご紹介しました。
山岳地帯だからこそ、先人の知恵と暮らしの工夫が息づく伝統文化が多く存在します。
ほうとうのように有名な郷土料理もあれば、地域の人の文化に根付くローカルな郷土料理もあったり。
お土産1つにしても、そのルーツを知るとより特別感が生まれます。代々引き継がれている職人技を現代でも大切にしている工芸品。ぜひ手に取ってみたいですね。
芸能、料理も実際に体験してみると、新しい発見ができるかもしれません。
主人公たちと同じようにキャンプを目的として訪れてみるのもいいですし、その道中で地域の文化に触れてみると、より聖地巡礼が楽しめるのではないでしょうか。
ゆるキャン△をきっかけに、日本の素晴らしい伝統文化を体験してみてはいかがでしょう。