日本刀は映画や時代劇で、軽々と振られているように見えますが、どのくらいの重さかご存知でしょうか?
なかなか実物を手にすることも少ないので
「日本刀ってどのくらいの重さなの?」
「軽そうに見えるけど、実際どうなの?」
と、気になる人もいるでしょう。
そこで今回は、日本刀の重さを種類別で紹介していきます。
また、重さの影響が与えるメリット・デメリットもあわせて解説していきますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
日本刀の歴史や特徴、種類などを網羅的に解説していますので、網羅的に理解したい人は、以下の記事をどうぞ。
→【伝統工芸】日本刀の歴史や種類を解説|特徴や愛刀蒐集家も紹介
日本刀の重さは約1kg
結論から言うと、日本刀全体の重さは約1kg前後です。
「拵」(こしらえ)と言う、鞘、柄、鍔、鎺などの外装を外した刀身本体だけの場合は、約500~700gになります。
とはいえ、どのくらいの重さかイメージしにくいと思うので、身近なもので例えると、1000mlの牛乳パック1本分、もしくは500mlのペットボトル2本分と同じ重さです。
時代の変化による日本刀の重さ
日本刀は作られた時代によって重さや特徴が異なります。
ここからは、時代ごとに作られた日本刀の重さをそれぞれ紹介していきます。
古刀の重さ
古刀は、901年(延喜元年)以降の平安時代中期から、安土・桃山時代末期の1596年(慶長元年)までに制作された刀を指します。
この時代は馬上での戦いが主流だったため、反りがある日本刀が初めて誕生した時代でもあるのです。
主な古刀の重さは約600〜700gが平均です。後の南北朝時代には、長大な日本刀が作られ、重さが約4kgになるものもありました。
平安時代には、「五箇伝」と呼ばれる伝法が確立し、各地域で特色のある日本刀が作られました。
新刀の重さ
新刀は、安土桃山時代末期から江戸時代中期1763年までに制作された日本刀を指します。
今まで武器として扱われていた日本刀ですが、江戸時代になると実戦で使用されることは少なくなり、武士の象徴として変化していきました。
新刀の重さは約1kg前後で、古刀よりも重い作品が多いです。
新々刀の重さ
新々刀は、1781年(天明元年)の江戸時代後期から、1876年(明治9年)までに制作された日本刀を指します。
江戸幕府が開設されて以降、長い泰平の世が続いたため、日本刀はほとんど武器として使われなくなりました。
しかし、江戸時代後期には、再び日本刀の需要が高まり、実戦向きの日本刀が多く作られました。この時代に作られた日本刀が、新々刀と呼ばれています。
全国各地にたくさんの刀工がいたこともあり、新々刀の種類はさまざまで、重さは約700g〜1.5kgとされています。
現代刀の重さ
現代刀は、1876年(明治9年)の廃刀令以降に制作された日本刀を指します。
武器として帯刀することが禁じられはしたものの、制作自体は禁止されなかったので、美術品・工芸品として作られたものが多いです。
現代刀の重さは約1kg〜1.5kgとされています。
古刀〜現代刀まで、種類や特徴はさまざまで、見た目や重さも違うのです。
日本刀の重さを軽く感じさせる理由
日本刀は、手に持ってみると想像していたより軽いと感じる人が多いです。
その理由は日本刀の構造にあります。
重心の位置が手元にあるから
日本刀は、重心の位置によって感じる重さが変わります。
刀身は沿っていて細長いですが、重心は刀を握る手元側にあるため軽く感じる設計になっています。
当時、日本刀を選ぶ基準として手に持った際の重さが重要視されていました。
体感重量を軽減するのが手元重心
実重量より軽く感じさせる手元重心は、持つ側の柄付近に重心を持ってくることを指します。
反りによって重心の位置が決まりやすく、大きく反っているほど手元重心になりやすい傾向にあります。
より鋭く斬れるのが先重心
手元重心とは反対に、鋒/切先寄りに重心があることを先重心と言います。
先重心の日本刀は手に持った際、実際の重さより重く感じやすいのが特徴です。
また、重い分振り下ろしたときの衝撃が伝わりやすく、鋭く切れ相手に致命傷を与えやすい点も特徴の1つ。
反りが小さい、もしくは鋒/切先近くに反りの中心がある日本刀の多くは先重心となっています。
日本刀の重さが軽いことによるメリット
携帯性に優れる
日本刀が軽いことによるメリットの1つ目は、携帯性に優れる点です。
武士は常に日本刀を帯刀していましたので、軽いほど自身の疲労を抑えられます。
バランスの取りにくい馬上でも抜きやすくなるため、軽い日本刀は需要も多かったと言われています。
素早く切り込みを入れられる
日本刀が軽いことによるメリットの2つ目は、素早く切り込みを入れられる点です。
軽く扱いやすいため動きやすく、敵よりも早く切り込みを入れられます。
戦場では、いかに早く相手を切りつけられるかが重要なので、軽く素早い動きが可能なのは大きなメリットです。
日本刀の重さが軽いことによるデメリット
打撃力や切れ味が低下する
日本刀が軽いことによるデメリットの1つ目は、打撃力や切れ味が低下する点です。
手元重心の場合、日本刀の重心が鋒/切先ではなく手元寄りになるため、切りつけた際に重さが伝わりにくい面もあります。
野球のバットでイメージしてもらうと分かりやすいかと思います。バットを短く持った際には操作性が高くなる分、打撃力は低下しますよね。
日本刀も、重心が手元にあると軽く操作しやすい分、打撃力や切れ味が低下するのです。
切り込む位置がずれやすい
日本刀が軽いことによるデメリットの2つ目は、切り込む位置がずれやすい点です。
手元に重心あると、わずかなブレが刀筋に伝わり、狙った場所にピンポイントで切り込むことが難しくなります。
持ち運びやすく、素早く抜刀できるメリットがある一方、打撃力や切れ味が低下したり、切り込む位置がずれやすいことで致命傷を与えにくいデメリットもあるのです。
まとめ
今回は、日本刀の重さと重量によるメリット・デメリットを解説しました。
おさらいすると、日本刀の重さは約1kg前後で、刀身本体だけの場合は、約500〜700gになります。
日本刀は、制作された時代によって種類や重さが異なる点も魅力の1つです。
これから日本刀の購入を検討している方や最近興味を持ち始めた方は、重さという観点から日本刀の構造や時代の背景を調べてみるのもおすすめですよ。